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第4節 Uターン者の有効活用

 

企業はUターン者を採用する際に、?@どのような採用方針をもって、?Aどのような能力あるいは仕事分野の人材を、?Bどのような基準で(要件、年齢制限等)で行うのだろうか。本節では、これら3つの点を中途採用者と比較しつつ探ってみたい。

 

1. Uターン者の採用方針

 

(1) 新規学卒者
新規学卒者のUターン者の採用方針について聞いたところ、「特別扱いしていない」とする企業が3割強(32.2%)と最も多かった。次で「むしろ、地元からの採用を優先している」(15.9%)、「Uターン者の採用に積極的に取り組んでいる」(14.7%)、「特に決まった方針はない」(14.2%)がこれに続いている(図表3-20を参照)。しかしながら、「Uターン者の採用に積極的」と「Uターン者の採用に努力」を合わせたUターン志向の企業は約1/4(24.1%)になり、地元採用優先と比べるとUターン者の採用に前向きな意見がみられる。
こうした新規学卒者のUターン者の採用方針を企業の所在地(市)別にみると、県(道)庁所在地、県内第2・3の大(中)都市、周辺都市、県内の中小都市では、「特別扱いなし」の採用方針とする一方で、農村地域では「地元採用優先」の採用方針を採っている企業が多くみられる。しかしながら、Uターン志向(「Uターン者の採用に積極的」+「Uターン者の採用に努力」)の意見をみると、地元採用優先と比べ、県(道)庁所在地、県内第2・3の大(中)都市、県内の中小都市で多くみられる。
業種別では、製造業が非製造業に比べて「特別扱いなし」とする割合が多い。ところが、非製造業の間では業種によってその割合(金融等:52.4%、土木・建築:18.3%)にバラッキがみられる。また、Uターン志向の意見をみると非製造業が製造業よりも多くみられる。
つぎに規模別では、規模が大きい企業ほど「特別扱いなし」と「Uターン志向(「Uターン者の採用に積極的」+「Uターン者の採用に努力」)」とする割合が多くなる一方、29人以下の企業では「地元採用優先」の割合が多く、規模ごとで異なる結果である。
最後に売上高伸び率別では、売上高の伸び率にかかわりなく「特別扱いなし」が最も多く、なかでも「15%以上減少」した企業では半数に達している。

 

(2) 中途採用者
中途採用者のUターン者の採用方針についてはどうであろうか。同じく図表3-20の下段でとらえてみよう。新規学卒者と同様に「特別扱いしていない」とする企業(27.0%)が最も多く、ついで「特に決まった方針はない」(18.5%)、「Uターン者の採用に努力している」(15.6%)、「Uターン者の採用に積極的に取り組んでいる」(15.1%)がこれに続いている。しかしながら、Uターン志向(「採用に積極的」十「採用に努力」)の企業は約3割(30.7%)になり、企業は新規学卒者に比べて、Uターンの中途採用者の採用に積極的な姿勢がみられる。

 

 

 

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